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Lore
隆盛の生存者のグローブ
己の腕の力だけを信じよ。
追っ手が雨に濡れた草に足を滑らせたナザイレに飛びかかった。魚の骨のような棘が彼の手首から肩までを切り裂き、彼の右腕が麻痺し始める。ハイヴ・アコライトは彼の喉元を掴んだ。
彼はここにいるべきではなかった。だがタワーは彼が求める知識を知ることを許さず、シティはそれに逆らおうとはしなかった。だからこそ彼は答えを求めて荒野へ向かい、そして今、死に直面していた。
意識が遠のきながらも、生存本能が戦えと叫んでいた。彼は動かせるほうの手でピストルを探り、無作為に撃ち始めた。骨の破片と血が彼の手や顔にかかり、いずれアコライトの血反吐交じりの笑いが途切れた。
彼は仰向けになり、喘ぎながら瞬きで塩辛い雨を払った。胸の奥から圧倒的な動揺が湧き上がってくる。彼は家に帰りたいと思った。
唐突に閃光が走り抜け、ゴーストが死んだアコライトの真上に現れた。このゴーストはハイヴを装っているからこそ、今まで見たどのゴーストよりも醜かった。彼から母を奪ったゴーストよりも。
彼は宙に浮かぶゴーストを掴んだ。「お前たちゴーストは、僕たちを守るべきだった」彼は喘鳴しながらしゃがれ声で言った。
返事をしないのは、ゴーストだから当然のことだ。そしてこのゴーストも、他のゴーストと同じで守護者などではなかった。嘘つきの盗人。忌々しい毒蛇。奴らは彼からすべてを奪おうとしている。そして、このゴーストも例外ではなかった。
彼がゴーストの瞳に両親指を食い込ませると、ゴーストは暴れながら悲鳴を上げた。徐々に力を強めていくと、やがて何かが壊れ、吐き気を催すグシャッという音とともに、異常な高揚が彼の中を駆け巡った。
彼はこの日、初めてゴーストを殺した。凍てつく雨にずぶ濡れになり、血と土にまみれた彼はゴーストのシェルをベルトにはめ、心に誓った。これが最後の殺しにはならない、と。